また絶対に会いたいけど、今は会いたくないあなたへ。

また絶対に会いたいけど、今は会いたくないあなたへ。

おはようございます。

フクロウさんと出逢ったあの日から、また来てくれないものかと毎日外を見渡すのですが、現れませんでした。

その後見つけたのは鷲だけ。

 

ジミーに、「明後日ここを出発する」とサラりと告げるときの心境に、躊躇いはなかった。

ジミーも何か特別なリアクションを返してくるわけでもなく、今後の行き先と交通手段を確認してくるだけだった。

ただ、事前相談や前触れもなく急にここを発つと聞いた時のジミーが、一瞬無言になった事には気付いた。

私はその無言の居心地の悪さを搔き消すように、言葉を並べた。

「2日後のチケットが一番安かったから買っちゃった! それに、コロラドに来て、こんな誰も知らないようなコーテズという美しい場所と出逢い、家を作るというすんごい深い経験をさしてもらって、さらにフクロウにまで出逢った。もう充分すぎる。。。だから次の場所へ行く」

私の心は、次の旅路への準備に一直線で曲がることはなかった。

いつもなら、出逢ってきた人達と別れるのが寂しくて仕方がなかった経験の方が多かったにも関わらず、ジミーとの別れを惜しむ2日後を想像することはなかった。

私がここコーテズに住むジミーの元を去った後、ジミーがこの未完成の古屋で少し寂しくなるんじゃないか…? と思うのもお門違いだと思ってる。

 

いい関係のまま離れるタイミングというものがある。

なんちゃってでも、一応 “旅人” の私は、いつだって行き先や滞在時間を自分で決めてきたということもあって、このタイミングを直感的に読むのが上手になってるのかもしれない。

もちろん、縁があって関わる人とはどんな相手とだってどこまでも深く関わりたいって思うし、それに対して自分なりに努力だってする。

いつだって自分の心と、これまでの経験や知識を解放して、どんな時間だって真面目に対応したいって思うし、できればお互いのマインドに生産性のある時間を過ごせるような関係を築きたいって常に思ってる。

でもそれは、自分を我慢して築くものでは決してないっていうことと、どちらかが多く相手に寄りかかる(依存する)ものではないっていうこと。

こうやって言葉で書くと、「そんなのあたりまえじゃん」って簡単に思えるけど、実際はそんなに簡単じゃないって、わかる人にはわかってもらえると思う。

深く話すタイミングを作り出すことができず過ぎ去っていくカンパニー(ただの一時的な付き合い)が大半の世の中で、多くを話さなくても互いの生き様とポテンシャルだけで心通じる相手と運良く出逢うこともあるけど、それは奇跡に近い確率だと思う。

幾千もある出逢いの種類の中で、私にとって一番難しいのは、

長く居たにも関わらず、話せる時間が膨大にあったにも関わらず、

お互いの心が同じサークルの中に入らず、特に大きく記憶に残るハプニングを生み出せなかった相手との関係。

私は相手を選ばずに結構ガツガツとはっきり物を言えるタイプの方に属していると思うけど、

やっぱり相手の心と相手との関係にヒビを入れるか・割ってしまうかの賭けをするべきかどうか判断しきれないときもあるし、

特に外国人相手だと言葉を伝えきる別のエネルギーも必要だから、よっぽど相手を愛していないとしんどくて諦めてしまうことも多々ある。

これ以上相手の嫌なところを見たくないし、見つけたくない。

それに対して「しんどい」と反応してしまう自分の心は醜すぎてもっと見たくない。

そんなしんどい心を無視できない弱い私が、私を受け入れてくれている目の前の相手に、今してあげられることはもう何もないことに気付くと、良い意味でも悪い意味でも、もうこの場所から離れなきゃって思ってしまう。

これまで書いてきたジミーとの生活の中で、私はジミーに対して結構はっきり物を言ってきたほうだと自負している。

でも最後の最後の最終日。

ジミーは私のそのはっきりした物言いに対して、1秒前まで行なっていた全ての動作をストップし、私を振り返り、私の顔を強く睨み、そして凄んできたのだ。

それは私たちがテルライド(Telluride)と言われる場所にやってきて、街を歩いているときの出来事だった。

道中、ビールとマリファナで勝手にご機嫌になっているジミーに対し、私は嫌悪感をあらわにした。

「いいか? 俺はそれを言われるのが大っ嫌いなんだ。二度とそんな口を聞くな」

その凄みの迫力と突然の出来事に、一瞬心臓が止まる思いだった。

怖い。イカツイ男の怖さ。

でも、同時に怒りも一瞬にして湧いてきた。

本当に強い男は絶対に女にそんな姿を見せてはいけない。

それは私が家族の背中から教わってきたこと。

私がそのジミーの行動で否応ながら泣いてしまったのは、怖かったからじゃない。

怒りすぎて泣いたんだと今も思っている。

腹が立ちすぎて仕方なかった。

お前みたいな熊みたいな男が、女の私に向かってそんな凄みを見せるのが信じられないぐらいムカつく。

女の私がお前のその行動のせいでどんなけ怖さを感じてしまうか、こいつなんでわかんないんだ?

勝てるわけないじゃん、お前の熊力に。怒。泣。

まじでむかつく。泣。怖。怒。ぽろぽろ。怖。怒。

明日私がここを経つことも知っているのに、なんで最後の最後でこんなことになるのかな。

この一件の後、私はテルライドのお店巡りしたいから一人行動したいと言い、すぐにジミーから離れた。

渓谷の間にある小さなリゾート街・テルライドは、本当に素晴らしい景観を持っている。

ジミー曰く、ここに住むことができるのは金持ちだけだそうだ。お金持ちがこぞってこのリゾート地に別荘を建てたがるんだって。

私たちがここに来たのは、そのお金持ちのお家で不要になった家具を引き取りにくるためだった。

コーテズから、テルライドまでは片道2時間弱。

無事家具を引き取って、テルライドも別行動でお互いに満足できたところでジミーと合流した。

その時の私は、もう怒りを通り越した心境にいたので、ただ静かにジミーの助手席におとなしく座るだけ。

もう何も言おうとは思わなかった。

幸いにも、窓の外の景色が綺麗すぎて、数時間前に起きた出来事も遠くに持って行ってくれるし、明日ここを経つという次の目的も、私の心を下から強く支えてくれていた。

「これ、愛のために探したんだ。好きか?」

静かに座っていた私に対し、口を開きはじめたジミーが後ろの席から何かを私に差し出した。

それは、テルライドにあったFREE BOXから私のために選んだという、ツバの広い日除けのダッサイダッサイ帽子だった。(写真なし…)

あまりにもダサすぎて、私は本っ当に言葉が見つからなかった。

私のオカンでもこの帽子は嫌がるだろう、、、そんなダサすぎる花柄の帽子だった。

「次は、夏に来て。その頃にはもう家も今より完成していると思うから、その帽子かぶって山にキャンプしに行こう。本当に綺麗だから、夏のコーテズも愛に見せたい」

 

「・・・」

 

「夏には来たいけど、、、これは、かぶらない」

 

「好きじゃないか?」

 

「全然好きじゃないよ」

 

(ダサすぎる。ってゆうかフリーボックスから持ってきた帽子をプレゼントって…)

 

声には出さず、心の中でこう思った。

 

「愛、、、俺、ごめんな。気難しくて嫌な思いさせて」

 

私は、「ごめんね」も「ありがとう」も言わず、ジミーの横でまた自然と笑い始めた。

 

私は、人間がすぐには変われないということを知っている。

人が変わるというのは、不可能に近いほど難しいことだし、

人を無理に変えようとあーやこーや言う自分も違うなって身を持って感じている。

今目の前にいる人を嫌いになる前に、お互いに最高のタイミングを計らった別れに愛と未来を託すことは、これ以上一緒にいて歪みあうよりも生産性のある選択だと思う。

いや、そう思いたいと書いたほうが正しいかな。

 

 

コロラドを出発する当日。

ジミーと私は、最後の最後までケンカをしていた(爆笑)

これから60時間のバス移動でニューヨークまで横断すると決めた。

バス停までジミーが送ってくれるのはありがたいんだけど、「グレイハウンドのバスに乗るためにはチケットを自分でプリントアウトして持参しないと乗せてもらえないぞ!」と、これまた原始人みたいなことを言う。

「は?!こんなIT先進国アメリカでそんなプリティミティブな話あるわけないやん!携帯の画面見せれば大丈夫やから!」

「いや、お前は知らないだけだ!本当にプリントアウトしなきゃダメなんだ!ちょっと待ってろ!」

といって、もうバス出発の時間も迫っているというのに、「倉庫にあるから!」というプリンターを引っ張り出してきて、電源を入れるのだが今まで使っていなかった中古のプリンターがスムーズに動くはずもなく(怒)

なのに、自力で修理しようとし始めるジミーに腹が立って仕方ない私(笑)

「もういいってば!無理だって!時間やばいから、とりあえずバス乗り場行かなきゃ!!!」

「絶対乗れないぞ!知らないぞ!」

「乗れるわ!バカ!本当にいつもカリカリしすぎだってば!」

「もうちょっとリラックスすることを覚えて!体が心配になる!」

 

ジミーのお父さんと、親戚のお兄さんが2人とも心筋梗塞で亡くなったと聞いて、それだけが心配だった。

 

「ジミー、いっぱいケンカしたね」

 

「ジミーの英語、本当に何言ってるか全然わかんなかった!笑)でも、本当にありがとうね」

 

「俺も愛がなに言ってるかわかんなかったよ(笑)」

 

「でも、この時期にこんなところまで来てくれてありがとう!原始的な家でごめんな」

 

「私にとって初めての経験がたくさんで、すんごい幸せやったよ!」

 

そう言って、バスの前で熊おじさんジミーと、力強いハグをした。

 

忘れない、あのシチュエーション。いつもかぶっていたカウボーイハットに埃まみれの茶色いパーカー。

 

不器用でカリカリでリラックスをしらないけど、可愛いぐらい下手くそな優しい心を持つ、熊おじさん。

 

「お願いやから、STAY RELAX!」

バスに乗りこむ階段の前で、大きな声でジミーにそう叫んだ。

 

 

プリントアウトしたチケットを持っていなくてもバスには乗せてもらうことができた。

でも、親切な運転手さんが売店のプリンターを使って、私のチケットをわざわざ印刷して渡してきたので、ジミーの言っていたことも正しかった(笑)

バカって言ってごめんね、ジミー(笑)

 

バスは無事発車し、数分後ジミーの家の近くの道路を通過した。

 

私は、あんなに一緒にいてしんどかったけど、やっぱりなんだか寂しい気持ちを感じながら、ジミーの家の方に自然と目をやった。

 

すると、、、

 

窓から遠く向こうで、カウボーイハットをかぶったおじさんが、バスに向かって大きく大きく手を交互に降っていた。

私が気付かなかったら、どうするんだよ。バカ。

泣かせないでよ、バカ。

熊、不器用。

今はしんどくて会いたくないけど、絶対また会いたい熊おじさんとの日々を終えて、大都会へ向かいます。

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